先日、部屋を片付けていると、以前紛失したと思っていた

ユクスキュルの「生物から見た世界」という本が出てきました。

1934年、ベルリンで出版された動物学の古典的名著です。 生物にとって環境のもたらす意味を考察した本です。私が持っているのは、昭和63年の第17刷です。

クリサートをはじめ、多くの画家や研究者によって措かれた豊 富な挿絵が秀逸です。絵が今となっては少し難解な文体表現を分かりやすくする手助けになっています。

例をあげれば、人間が見た部屋、犬が見た部屋、そしてハエの見た部屋、カラー挿絵があります。それぞれの生物が生きて行くのにとりまく環境の何に集中して観ているのかが解り、大変興味深いです。人間をとりまく「環境」という概念が、人の幻想によって成り立ってい る、国家も宇宙もすべて人間のこしらえた概念と言ってもよいのでは?と彼は問いかけています。

お盆休みも終わってしまいましたが、残りの夏の読書にいかがでしょうか?

思索社の単行本は絶版のようですが、岩波文庫からも発売されているようです。